秋の夜長に勝手に石見神楽を解説しようじゃないか。

島根西部の伝統芸能・石見神楽を妄想と主観で解説してます。ビギナー向け。

【小ネタ】武器解説①〈刀剣乱舞編〉

桜がちらほら咲いてきましたね、もう春ですね、って書こうと思ったのに昨日雪降ったよ?!寒いんですけど!!三月なのに寒いんですけど!いやだ!!!!!

 

演目解説をしなきゃなーと思いつつ、シーズンオフだから気分が乗らないなー、でも今のうちに色々書いときたいなーっていう気分なので(グダグダ)、今回はちょっと趣向を変えた記事をば。しばらくこんな感じで小ネタ記事増やしていこうかな。

 

さて、一体何を企んでいるかと申しますと、ふふ。

 

神楽に出てくる武器の解説、やりたいな

 

いやね、気になりませんか?神楽の武器たち!!ドラクエ解説書熟読派なので、もうまとめたくてまとめたくて!!仕方なかった!ほんとは『日本武尊』や『八十神』とか色々演目解説してからやろうと思ってたけど、5か月間ちまちまやって、まだたった7演目しかしてないからね!!今気付いたよ!!こりゃ全部やるのに死ぬまでかかるなと判断したので、やりたいやつから書いていこうと決意した次第です。

 

てことで、今回は神楽に登場する武器を解説!!いらっしゃい!!なににするかね!?笑*1

 

 

まずは最強最高の攻撃力を誇る一振り、「十束剣(とつかのつるぎ)から。

これは『大蛇』で須佐之男命が八岐大蛇を退治した伝説のドラゴンスレイヤースサノオ所有の剣といえば後述の「草薙剣」が有名だけど、神楽での活躍度合いはどう考えたって「十束の剣」が一番。何と言っても花形二演目で活躍してますからね。それをスサノオは初期装備って。旅の途中で売らなくて良かったね。

「十束剣」は「十拳剣」「十握剣」とも表記され、その名の通りこぶし10個分の長さの直刀だと言われています。実際に自分のこぶしで測ってみると、割と長いな??腰からふくらはぎの真ん中くらいまである。腰から下げると歩くとき邪魔そう。色々調べてもらえれば分かるんですが、こぶし10個分の長さの剣なら全部十束剣と呼ばれるので、ここではスサノオが所有していたものについてご紹介。

この剣は別名「天羽々斬(あめのはばきり)と呼ばれ、「羽々」は「大蛇」のことを指すんだそうな。そのうえ、大蛇退治の戦利品草薙剣」の「ナギ」は蛇を表す古語古代インド神話の大蛇を指す「ナーガ」にも通じるらしく、実にニョロニョロしてるニョロ!!ヘビといえば「大蛇解説」でも書きましたが大河・暴れ川=豊作の象徴なので、八岐大蛇と奇稲田姫は表裏一体の関係にあると見て良さそうですねー。ちなみにヘビの尻尾を切ったとき「草薙剣」に当たって、刀身が少し欠けちゃったんだそうな。また、『鍾馗』で疫神を退治する際にも「十束の宝剣」が使用されています。

てことは…巨大モンスターに悪玉のボスも倒しとるわ、しかも一人で(ドラクエⅠかよ。)なので、神楽で最強の剣は「十束剣」に間違いないでしょう!!!

 

お次はみなさんお待ちかね、草薙剣(くさなぎのつるぎ)

前述の通り、大蛇の尻尾からテレレレッテレーと出てきた三種の神器の一つです。出てきた時点では出雲地方特有のどんよりとした天気になぞらえ、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)と名付けられました。あのさ、こっちの方がイカす名前だよね??ね?スサノオDQNなのにネーミングセンスぱないっすから、インテリDQNすわ。尊敬。

この剣をケンカ中の姉・天照大御神に献上し、「八尺瓊勾玉」と「八咫鏡」とともに三種の神器となりました。この3つの共通点は、八岐大蛇も含めて「8」という数字に関連すること。一説には古代の日本では8が聖数であったためだとか、「八百万の神々」然り「たくさんあるもの」という意味だとか*2。「八雲立つ出雲八重垣~」とかもそうだしね。末広がりな縁起良い系神秘の剣です。

だからと言って決して攻撃力が低いわけではなく、『日本武尊(やまとたける)』では火攻めに対し周囲の草むらを一瞬にして薙ぎ払って劫火を鎮めたりと、剣としての真価も見せています。それが由来となって、「草薙剣」と呼ばれるようになりました。MP上昇かつ道具としても使える感じで重宝しますな~。さすがモンスター倒して手に入れたお宝だけはある。現在は熱田神宮に奉納されており、皇居の宮中には祭礼用のレプリカが置いてあるそうです。

 

武勇伝に武器とくれば、鬼退治に名刀は切っても切り離せません!!大江山』で鬼を斬りまくった刀たちだって、その名を後世に残しています。

リーダー・源頼光が酒吞童子を切った刀は童子切安綱(どうじきりやすつな)といって国宝に指定されている超お宝。「天下五名刀」の一つに数えられています。罪人の死体を使って刀の切れ味を試した際には、6体分をぶった斬って下の板まで刃が届いたんだそうな。バイオレンスだな…。逆にどんだけ板硬かったんだ。

源氏重代の宝刀はまだまだあって、源氏三代・源満仲が作らせた二振りの太刀も超有名。その名も「髭切(ひげきり)「膝丸(ひざまる)。これは、髭膝・膝髭・源氏兄弟とも呼ばれる見目麗しい兄弟カプでじゃなかった、前者は罪人の首を顎ひげごとぶった斬り、後者は膝までぶった斬ったことで元より有名だったのですが、満仲の嫡子である頼光に渡ってから、さらに後世まで名を馳せることとなります。

護身用にと頼光四天王の筆頭・渡辺綱様に渡された「髭切」は、戻り橋』で酒吞童子の右腕・茨木童子の左腕を刎ねたことにより「鬼切(おにきり)と名を変えます。ちなみに、『大江山』で数多の鬼を切り伏せた綱様所有の刀も「鬼切」だったそう。(大江山のややこしい前後関係はこちらから→『大江山②』)。また、「鬼のビッグネームを斬った」ことから、先ほどの「安綱」と伝承がごっちゃになって同一視されてるみたいですね。なんだと!?様が持ってんのが「鬼切」だァァァ!!エビマヨネーーーズ!!!!(←わかるかな…??)

一方、「膝丸」は『大江山』の後日譚・『葛城山』で登場。熱病に悩まされる頼光に奇襲をかけるため侍女・胡蝶に化けた土蜘蛛を辛くも退けた刀です。満身創痍の頼光は「膝丸」の名を「蜘蛛切(くもきり)に変え、綱様に打倒・土蜘蛛を託します。これ、広島らしく女に化けるという設定ですが*3、能では僧侶が寝所を襲うというくだりになっていて(犬夜叉だ…!!)、「平家物語」では頼光自らボコりに行ったとかなんとか。無事に土蜘蛛を退治した綱様は「蜘蛛切」を主のもとへと戻します*4さすが綱様。頼光より全然活躍してます。主役を取って食う勢いです。実写化は一生様でお願いします。

その後、度々の改名を経たりなんか色々あって「髭切」は頼朝に、「膝丸」は義経に渡り平家を滅亡に追い込み、義経が討たれたことにより頼朝に所有されたそうです。なんつードラマチックなんだ、源氏兄弟。良いよ。そういうの良い。

 

すげー切れ味の良いすごい刀だ!!と褒めまくってますが、ガチレスすると、骨って切れないからな整形外科手術もドリルですっからな

日本刀の正しい扱い方は、刃を水平にして骨と骨との間を狙うか、頸動脈をズバッとやるのがサクッと殺れる。なので、骨を断つためには西洋の剣と同じく叩き折るという表現が正しい。つまり、名刀とは刃が薄いのに刃こぼれしにくい=耐久性に優れた⇒激闘を制した刀のことなのではと思います。ちなみに私は海外刑事・医療ドラマ好きでこういう要らない知識がいっぱいあるのであって、漆黒の追跡者とかではありません。

 

 

あれれ?小ネタなのにいつも通り長くなったよ??まだ弓矢とかやってないよ??よ?

うーーーん、でもここで強制終了!!長すぎ!!いつも通り!!!泣

なので他の武器はまたの機会にアップします!!ごめんなさい!!(グダグダ)

 

 

 

タイトルで気付いた人、察しが良くて大変助かります…。

 

*1:ここでご紹介した武器は『伝説の「武器・防具」がよくわかる本』(佐藤俊之監修・造事務所編著,PHP文庫,2007年)を参考に解説しています。楽しい文章と豊富な文章量かつ美麗イラストでオタク心をくすぐる、めっちゃ勉強になる文庫本です!初版が出てから10年たってますが、オススメしたいな…。超面白いんだこれ~~~( ´;ω;`)

*2:8は4の2倍ですから、物事が良く安定・発展するようにという意味だったんじゃないかなと思ったり。4っていうのは凶数とされていますが、机にしても家にしても、大体のものは4点で支えられていますよね。力学的には3点で十分なはずなので、四角というのは人間が最も安定する形なんだと思うなー。なんかここらへん深そうですよね。(ただのオカルト好き。)

*3:14世紀ごろに書かれた『土蜘蛛草紙』には女に化けたという記述あり。

*4:綱様は大江山関連でいっぱい活躍してるからか、他の四天王・卜部武季(うらべのたけすえ)、碓井貞光(うすいさだみつ)の存在感フワッとした二人に出番を譲る場合もあります。