秋の夜長に勝手に石見神楽を解説しようじゃないか。

島根西部の伝統芸能・石見神楽を妄想と主観で解説してます。ビギナー向け。

【黒塚前編】注文のめっちゃ多いゲストハウス

 いや~~~!!お久しぶり!!みなさんってゆうよりこのブログ自体が私のこと覚えてる??って気分ですよ!!うわ~ん!!た・だ・い・まぁ~~泣!! 

神在祭や大元神楽があったのにどうしたの…突発死…?と思われた方がね、もう大半だと思うのですが生きてます、オタ社中は改名を経てまた戻して生きてますからぁー!!

あのね、テキトーに始めたサイドブログが一人でに急成長しちゃいまして対応…というかなんだかんだしてたら、こっちが放ったらかしになってて…。本当に、大変申し訳なかったです。ごめんなさい。

一応ね、このブログは島根の魅力を気持ち悪く語る…発信しよう!と思って始めた押し売り的劇場型ブログなので。

神楽もなんでも、やってる本人が一番楽しくないと!!って思ってる!!

 

なので今年はちゃんとやります。

下書きは、いっぱいあるのですから。(保険)

 

 

ということで、今回はなんでか「黒塚」をやります。

なんでだろうね…「黒塚」全然興味ないのに…何を突然思いついたのか…。もっと出雲の観光記事書けってね…。

脈絡が謎過ぎてね、私が一番戸惑ってるので、うん、みなさんも頑張ってついてくるんだよ(??)。

この「黒塚」という演目、知名度はある程度ありますが「好き」って人はほぼいないので、なんでこんなニッチなもの書こうとしてるかな自分。うーん、キツネにつままれているということにしておこうかな。

あ、あとこの記事から目次をつけてみることにしました!見やすくなると良いな!

 

 

それじゃあ、久々の解説記事!!「黒塚」いってみよーう!!イヤッホー!!

 

 

 

「黒塚」とはなんぞや?

「黒塚」が夜神楽で上演されるのは、夜半も過ぎて明け方迫る午前3時頃。一番眠たい時間です。

それまでに「人倫」「大江山」「胴の口」「天神」などの派手な演目続きで、みんなのアドレナリンがドバァってなっちゃって、「いやっほ~い、今年はオールナイト出来るぜぇ~い」と思っていた子供たちの欲望を完全に打ち砕くのがこの演目の醍醐味です。

鬼、まさに鬼。(キツネだけど)

私はね~、この演目ほんっと嫌いでね、まぁー眠い。まじで眠い。正直ヘタクソな所が舞ったら即寝してしまう。ラリホーマか。

しかもね、うちの祖父は元々神楽やってたんだけど「化生舞」担当だったそうで、「頼政」の鵺と「黒塚」の狐が持演目だったんだってね。

だから祖父にあのクソ長い口上を全部覚えさせられたというハラスメントな記憶が蘇ってくるんだわ。

分かる!?脳内がちぃちぃぱっぱの那須野が原になる感覚!!

しかも夜神楽用のセリフだからね、一切ハショりなしよ!?それを家に帰ってNARUTOBLEACHも見ずに覚えるのよ!!私だって影分身覚えたいわ!!死神になりたいわ!!斬月!!とか言いたいわ!!

 

おっと、久々だからただの愚痴になってしまった。いかんいかん。

 

そんな感じでね(?)、この演目には大して思い入れもないわけだけど(じいさんごめんな)、この神楽は他のものと比べて少し構成が難しく一幕と二幕の前後編になっていたり、前半はセリフで場面を進行する「口上舞」後半は打って変わって激しいバトルの「剣舞になるため、面白い、といえば面白いんだけど、初心者の方にはちょっと不親切設計なんだよね。

ただ、下敷きとされているお話はかの有名な那須野が原の妖狐伝説」で、「玉藻の前」、「葛の葉」、能の「殺生石とか知ってるでしょ?オタク心くすぐられるでしょ?って感じで割と親しみやすいかなっていうのはあります。

 

おじさんず二人

じゃあ前説明はこれくらいにして、演目に入っていきましょう。 

最初に二人のおじさんが出てくるけども、この二人はふつうにおじさんなので演じる人もおじさんだし、演じてる役もおじさんなのでね。おじ濃度が高いよね。そこ、画面が地味とか言わない。
神楽ではおなじみ「そもそも~」の自己紹介ターンで自分のこと・旅の目的うんぬんを一人語りするのですが、まぁ、ジャンプならこの時点で次週にいってるわ。長いんだわ。中年は話が長いんだわ。(突然のディス)

代わりに私が紹介しちゃうと、山伏っぽい格好している方は「那智山東光坊の高僧・権大僧津阿闍梨祐慶大法印」って人で「法印(ほういん)さん」って呼んであげて、みんなよろしくね。超エライお坊さんでエリート意識高めなの、ちっさい頃から。なかなか電波ね。色々修行してきたらしいけど実戦経験少ない系だから、そこんとこ注意ね。

んで、隣の軽装の方は裏で衣装を隠されたからあんな格好で舞台に出…って違うの?「剛力(ごうりき)さん」って言うの?あらまぁ、なら前澤社長にもっと良い服もらいなさいよ、おドジね。あなたは法印さんのお供なのね。鬼棒持ってるからって鬼じゃないのね。分かりにくいわね。

ってオネエ気分でご紹介してみましたこの二人。

他の演目と比べその出で立ちはさることながら、関係性も完全に上下関係、しかも見た感じ売れない中堅芸人感が出ていて、ちょっぴり心配です。

ここで、お二人の格好に注目を。

時代劇とかで見たことがあるんじゃないかな。旅装束をしていますね。足にレッグウォーマー…じゃなくて脚絆手には中二心くすぐられる手袋…じゃなくて手甲をしています。それに二人とも「輪鈴」と呼ばれるジャカジャカ鳴る…鈴…ではないんだよな…錫杖の簡易版だと思ってくださいを持っています。

その格好が表す通り二人は長旅の途中そしてここは那須野が原という場所まで行き着きました。

ここでね、二人がこの地に流れ着いたわけを「長旅の途中で宿を探している」ってなってるところと、最初から「妖怪退治に来たぜ」ってしてる場合とがあって、うん、どっちもやべー上司だわってなる。計画性!プランニング!ってなる。

どっちにしろ、「この地には超やべー金毛九尾の妖狐がいるらしいからついでに退治しようぜ☆」って感じで話が進むので、もー絶対こういうタイプ上司にしたくないわ。こういう思い付きで行動する人ホンット無理なんだわ。 

ですが!!

最初から色々ディスりすぎたんだけど、この法印さんって役は舞手さんの中でもやりたくない役ワースト1位らしく、初っ端の長口上がねー、もう本当に大変だと思います。もう口で覚えるんだって。

これはね…もうどしようか……。時間と…あと需要があれば…口上の現代語訳を出そうかしら…。やっぱり、そこここで全然場面転換が違うからやめようかしら。

あのね、この入りのセリフというのは、セリフ自体にリズムをつけるため、数字や固有名詞を挟んでくるんですよ。それがテレコになっちゃって、テレコになったら次のセリフを飛ばしちゃったりして、なかなかに難儀(=so hard)なんですね。

夜神楽なんかでは「えー…っと…あー」って詰まっちゃったら、すかさず観客が「しっかりせんかー笑!」って野次を飛ばしてくるんだけど、本当に大変なのでね。愛ある野次でお願いしますね。ちなみにうちのとこでは「今ゆうとるだろうがや!!」って怒鳴り返されてた。ガラが悪い。

今までで一番面白かったベストお客さんは「えー…っと…あー」「鈴懸に胎蔵黒色の袈裟を掛け、降魔の利剣を横たえ、外には忿怒の相を現ずと云えども~」って1ブロック全部その人が言ったってのがある。法印さん役の微妙な苦笑いを私は忘れない。

 

行き当たりばったりの計画は破綻しがち 

そんでまぁ、やっと今日の宿を探すわけですね。

ですがここは那須野が原

原ですからね。何にもないわけです。

かわいそうに、剛力さん。パシられてるのに、ここにはアパホテルもドーミーインもないのです。法印さんには計画性が欠落してるんですね。いや、化物退治するなら体調管理!!ホラR-1飲んでよ!!って気分にもなれないわこりゃ。

でも、剛力さんはどうにかオンボロ民宿を見つけます

ここから何回も出てくる「柴の戸」というのは「柴で編んだ戸」のことなんだけど、お若い方は見たことないよね~。上等な戸・門っていうのは竹で編まれたものか、丈夫な板を組んで出来てまして、柴(「おじいさんは柴刈りに~」のやつね)=小枝を隙間なく詰めた戸ということから「粗末な庵」=「ボロ屋敷」の代名詞なんですね。

でもま、粗末だろうが屋根があるだけマシです。

剛力さんは取材交渉ならぬ田舎に泊まろう!』を実践します。

「とんとん、どなたかいらっしゃいますぅ~?」

「どした~」

おや、人は住んでるようですね。(←ナレーション風に)

「今日泊まるとこ無くて~…いきなりだけど泊まらせてくれません?」

「お、おま、まじか。いきなり来て、ま、まじか。え、いやうち見ての通り汚いんだって、どう考えても誰か泊まらせる状態じゃないでしょうが」

「いや~、そこをなんとか!!上司がうるさいんすよ!」

「お前だけじゃねーのかよ!!…全く図々しいな…いつの間にか「おばーちゃん」とか呼んできそうだな…。無理無理、無理ですよ。うち寒いから。帰って下さい」

剛力さん、肩を落として法印さんにムリだったと伝えます。

「で、かくかくしかじかです」

「おっけ、じゃ次はこう言ってみ。バックパッカーつうのはー、同じ旅でも短期定住と全く違うわけ。そうでしょ。そんなあなたともこれは何かのご縁なの、これも旅の一部なの。おけ?覚えた?」

「おっけ~」

剛力さん、現代はLINEがあっていいなぁ~と思いながらさっきの柴の戸に戻ります。

「かくかくしかじかで、そこを一つ」

「あー、わかった。じゃあもう全部自分でやりなよ。素泊まり、ガチ素泊まりだから。ってゆうか、あ、ついでにうちのことも全部やってくれればいいじゃん。薪割りに水汲み。それにダニアースもするから。上司の上着が煙臭くなってもいいなら泊めてあげてもいいよ」

マジで泊まらせたくなくて、中の人はフロントらしからぬ粗雑さで追い返します。

剛力さんは内心(ガチで迷惑がられている…)と思いましたが、ちゃんと法印さんに報告します。

「まじか!!良かったじゃん!!じゃ、泊まりにいこ~」

 「えっ……」

「お前が全部すれば問題ナッシング☆」

「………」

 

こんな感じで、二人はようやく一夜の宿を手に入れるわけです。

いやね、よくよく考えてみると、素泊まり通り越して民宿の業務をさせようとするので、もはや僧坊体験になっているわけでしてね、しかも坊さんが僧坊体験するというカオスでもう設定が銀魂でわらう。

わらっちゃうぜ。

 

煙り立たねば人は知らずや

そんで、やっと宿の女将と無事対面を果たします。

幕内から察するにイヤミな姑か嫌味なお局のどちらか…?と思いきや、予想を裏切りとってもきれいなお姉さんが出てきましたねー。

「黒塚」のこのシーンで出てくる「姫」というのは、大方紅葉が入った衣装を着ています。鈴懸・袈裟・月とくればやはり「秋」。作中で季節感にきちんと触れられていないため、「朝夕冷える…春?秋?初冬?」と少し場面を想像するのに難しいものがありますが、この「紅葉」で一発解決ですから。ぜひ紅葉の衣装を着せたいところです。

 

んで、突如踊りだす

 

しかもテキトーにあしらっとけ感満載のめんどくさいユルい踊り方なんだな~、コレが。もうね、ウザい客に絡まれたキャバ嬢に見えてきてわらっちゃうぜ。

そして、ここで踊るターンがまぁ長い。

ハイーヨ催眠(無限ループ)だからね。ラリホーマラリホーマラリホーマだからね。

眠いんすよ!!!!!!

バックミュージックもなんか音数が少ない感じでしょ。「え?…『快適睡眠!よく眠れるスリーピングBGM』ですか?」ってなるからね。

んんんんんん眠い!!!

ね~む~い~ぃ~!!!!!

 

寝た

 

ってなる。

もうね、黒塚を夜神楽で見れたためしがないね。一晩中神社で張りついて見た記憶がないね。絶対寝るね。

でも私のせいじゃない。

だってここのシーンは時間調整らしい。意図的です。仕組まれてます。

やっぱりね、お年寄りとか「オールで神楽は難しいなぁ…」って方がおられるんですよね。その方たちは明け方徐々に集まって来られて、「鍾馗」と「大蛇」と「五神」を目指して見に来られます。これらの演目は縁起も良いし。

神楽団の方たちからすれば、さっさと終わってさっさと帰りたいのが本音だと思うんです。最近はステージでの神楽披露も多いし。

でも、こうして「黒塚」で時間調整してラストに備える、という習慣…気遣いがのこっている所がね、なんだかやっぱり素敵だなぁ…と思ったり。でも最近は夜神楽も人数少ないんだってね…。ただただ蛇はひたすら人数がいるから準備が大変って理由もあったりで…。

 

そんで、まぁこのへんで寝ちゃっても多分起きてもこのままなので、心置きなく寝て下さい。←無茶苦茶な事言う。

 最悪キツネが出てきたら嫌でも起きるから、大丈夫。

 

 

いつものように続きです。